反貧困学習

プロジェクトの概要

2年生「テーマ別人権学習」の学年発表会 2年生「テーマ別人権学習」の学年発表会

総合的な学習の時間を活用しての取り組み。生徒たちが自分の生活と社会背景を重ね合わせ、子どもの権利から労働者の権利を学ぶ。

 

そして「西成」の現実から貧困の連鎖を断ち切るために歴史的になされてきた政策や運動を学び、差別と貧困を生み出さない「新たな社会」を実現のためにどのように社会参加していくかを考えていく。

取り組みのねらい・目標

本学習の目標は次の7点である。
①自らの生活を「意識化」する。
②現代的な貧困を生み出している社会構造に気づく。
③「西成学習」を通して、差別と貧困との関係に気づく。
④現在ある社会保障制度についての理解を深める。
⑤非正規雇用労働者の権利に気づく。
⑥究極の貧困である野宿問題を通して生徒集団の育成をはかる。
⑦「新たな社会像」を描き、その社会を創造するための主体を形成する。

さらに学習を通して、貧困を生み出さない社会を目指しての社会参加をねらいとしている。

達成度

年々、学んだことを生活の中で実践する生徒たちの動きがまた新たな学びへと繋がっている。さらに、グローバルな視点にたっての学びや行動が期待される。

参加・連携・協力団体など

1年生の西成学習では野宿者ネットワークと連携し、地域におけるホームレス問題についての学習を行っている。2年生のテーマ別人権学習では「生徒が現在または近い将来に直面する課題に取り組んでいる当事者・支援者との出会いを通して、社会性をもった自助グループの育成を目指す」ことに置き、これらの団体メンバーを講師に招き学習を深めている。

①子連れシングル(しんぐるまざーず・ふぉーらむ関西)
②セクシャル・マイノリティ(QWRC)
③働く者の権利(ユニオンぼちぼち)
④子どもの貧困(わが町にしなり子育てネット)
⑤心の病(浪速生野病院心身医療科)
⑥依存症(大阪DARC)等である。

これらの団体との連携は、『反貧困学習~格差の連鎖を断つために』(2009 年、解放出版社)を出版する際に、本校の学習を評価してもらったことが契機となっている。

対象分野

西成、人権、貧困、まちづくり

手法

生徒一人ひとりが自らの生活を社会状況と重ね合わせながら省察し、その社会状況に対して批判的に立ち向かい、変革の主体として自らを自覚することを「意識化」と考えている。この「意識化」と生徒の内在的な力を引き出す「エンパワメント」の手法をもとに、「反貧困」の視点に立った自主教材をもとにグループワークやワークショップ、講演、調べ学習を実施している。

主な対象者

高校生
参加者人数: 各学年約200人

実施期間

2007年~ 

活動の様子

ESDの視点

「反貧困学習」では、貧困問題を軸にし、「西成」という地域を掘り下げていくことを通して、それらが日本社会の諸問題やグローバルな課題と密接にかかわっていることを学んできた。そして、これらの諸課題と向き合うことは、ESDで目指される持続可能な開発のあり方を考え、公正でともに生きることのできる社会をいかに実現できるかを探求する学びとなっている。

対象者の変化

「反貧困学習」を通して、「西成に生まれ育ってよかった」という誇りを醸成していった生徒たち。

実際にアルバイトでの不当解雇に対して、労働基準監督署やユニオンと連携して、自らの権利擁護のためのアクションを起こした生徒たち。

地域の児童館とともに、野宿者への「子ども夜まわり」を実施した生徒会。

また、友人からの相談を受け、その友人を児童相談所につないだ生徒。

これらの生徒のように、身の回りで起こっていることに対して、自らが社会に働きかけていく動きが見られるようになった。

改善点

「反貧困学習」が、さらにインクルージブで生徒主体の活動が活性化するための学習へと発展していくこと。また、本校の立地する西成区での「こどもにやさしい街づくり」へ生徒たちが参画できるようになることが望まれる。

その他

「反貧困」は学習に留まるのではなく、学校の生徒支援体制の軸となっている。

2010年の年度より「生徒支援委員会」を立ち上げ、虐待事例を含む厳しい生活背景の生徒についての情報交換を実施し、個々の生徒状況をアセスメントし、必要性がある場合は子ども相談センター(児童相談所)や生活保護ケースワーカー等の外部機関に相談・通報し、生徒の就学支援を組織的に対応するようになった。

また、要保護児童対策地域協議会の中学校区の地域ケア会議への参加やNPOと積極的に連携し、校内外に「居場所」を開設するに至っている。

団体概要
団体名 大阪府立西成高等学校
住所 〒557-0062 大阪市西成区津守1-13-10
電話番号 06-6562-5751
担当者名 肥下彰男
e-mail T-HigeA@medu.pref.osaka.jp
団体URL http://www.osaka-c.ed.jp/nishinari/
プログラムのURL

冊子事例集ダウンロード(PDF)

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