釜ヶ崎芸術大学

プロジェクトの概要

さまざまな声が重なる詩の授業 さまざまな声が重なる詩の授業

大阪市西成区のあいりん地区(通称・釜ヶ崎)で「学びたい人が集まれば、そこが大学になる」と、2011年にカマン!メディアセンターで開校し、何度か開かれてきた「釜ヶ崎大学」。

 

大学で学ぶという選択肢などなかった、という人が多いこのまちで、「大学」という言葉のもとにさまざまな人が集い、そこには人生に関わりあう豊かな学びの時間があった。

 

今回は、日本の近代を支えてきたまち・釜ヶ崎で芸術をめぐるさまざまなことを、学びあいたいという思いから、「釜ヶ崎芸術大学」と名前を改め、2012年11月から2013年2月までの間に、「表現」「詩」「哲学」「地図」「音楽」「芸術」「ファッション」「宗教学」「天文学」「感情」「書道」の11科目の授業を全42回開設。誰でも、一度だけの受講も可能な大学だ。

取り組みのねらい・目標

当法人は、釜ヶ崎の中にカフェやメディアセンターを運営し、日頃より、困難な状況を生きる人たちとともに表現の機会もち、コミュニケーションの練習の場、あらたな出会いの場、相談できる場づくりなどに取り組んでいる。小さな活動を日々積み重ねてきたが、釜ヶ崎に暮らす単身男性高齢者からは、まだまだ「家族もいなくて孤独である。やることがないから、お酒で紛らわすしかない」「一日中部屋にいる」という声が聞かれる。家庭環境などの問題で、「学校へ行きたかったけれど働くしかなかった」と学ぶ機会を断たれて来た人も多い。このような状況を少しでも変えられればと願っている。

達成度

分野を超えた12人の講師を迎え、地域内外からさまざまな立場の方が参加。高齢単身者の孤立が深刻な釜ヶ崎地域において、誰もが自由に参加でき、ひとつのテーマへ共に取り組める機会をつくったことは、新たな人間関係創出、セーフティネット構築の端緒となった。

地域外から訪れる人にとっては、釜ヶ崎で学び、釜ヶ崎に暮らす人と出会う中で、暮らしや生き方そのものを問い直す機会となったとの声も聞かれた。当初の予想以上に反響も大きく、ねらいは達成できたが、継続することが重要だと思われる。

参加・連携・協力団体など

協力:大阪市立大学 都市研究プラザ、喜望の家、西成市民館

助成:平成24年度大阪市市民活動推進基金

対象分野

芸術、学び、高齢者、人権、貧困、野宿、生活保護、孤独、差別、依存

手法

講義、ワークショップ、作品制作、ディスカッション、成果発表会、展示発表

主な対象者

釜ヶ崎に暮らす単身男性高齢者、生活困窮者を中心に、こどもから大人まで、釜ヶ崎というまちで学びたい人すべて

参加者人数:のべ570人

実施期間

2012年11月19日〜2013年2月16日

活動の様子

真剣な眼差し、静けさに包まれる 真剣な眼差し、静けさに包まれる

素敵にカスタマイズされた学生証 素敵にカスタマイズされた学生証

ESDの視点


  • ・人々の生き甲斐づくり、負の生活サイクルを断ち切るきっかけとなること

  • ・表現することは、自尊心をとりもどすこと・自己選択できることを知ること・どんな自分も認められる安全な場があることを知ることなどにつながる。そのことにより、人々がより健やかに生き抜く力を身につけることが期待できる。

  • ・そもそも釜ヶ崎というまちは、いま私たちが暮らす現代社会が実現されるために、どうしても必要とされ生み出されたまちである。地域外からの参加者や講師にとっても、このまちで学ぶことは、私たちの暮らしそのものを問い直す機会となる。また、全国的に少子高齢化が進み、貧富の格差が広がるなかで、釜ヶ崎が培ってきた支援の仕組みや助け合いの知恵を知ることは、どの地域にとっても大きなヒントになる。また、過酷な人生をそれでも生き抜いて来た人びとの生きざまに学ぶことが多くある。

対象者の変化

釜ヶ崎地域では高齢単身者の社会的孤立が深刻な問題となっている。公共施設を利用して、誰もが自由に参加でき、ひとつのテーマへ共に取り組める機会をつくったことは、孤立する地域住民の新たな人間関係創出、セーフティネット構築の端緒となった。

また、釜ヶ崎には様々な市民活動が存在するが、アートの分野での活動は限られている。問題解決のために福祉や支援活動とは異なるアプローチをすることが地域の硬直化に一石を投じている。とりわけ本事業は地域の様々な場所で展開したことで、地域内においても、地域外から訪れる人と地域との間においても、より多様な関係創出の機会となった。

地域外から訪れる人にとっては、釜ヶ崎で学び、釜ヶ崎に暮らす人と出会う中で、私たちの暮らしや、生き方そのものを問い直す機会となったとの声も聞かれた。

改善点

充実した人員が得られれば、より密度の濃い内容を実現し、記録・考察を深く行って今後の活動へのフィードバックを行うことができた。本事業や活動拠点(居場所となるような)をまわしていくための人件費を確保することが課題である。

その他

参加者の感想から「次回の自己紹介は、もっと長くしゃべれればなと思っています。くちべたですが、ぜったいに次回も来ます。場をもうけてもらって、ありがたいです。」「家にいるだけでは出会えない人たちに出会えて、いろいろな話をきくことができ、とてもおもしろかったです。」「今日も寝た切り老人を免れた。」



※「釜ヶ崎芸術大学」は2013年秋冬開校。
2014年は春から開校。2014年 8月「ヨコハマトリエンナーレ2014」に招聘

団体概要
団体名 NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)
住所 〒557-0001 大阪市西成区山王1-15-11
電話番号 06-6636-1612
担当者名 植田裕子
e-mail info@cocoroom.org
団体URL http://www.cocoroom.org
プログラムのURL http://www.kama-media.org/japanese/geidai2012/

冊子事例集ダウンロード(PDF)

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